辺りがすっかり暗闇に包まれた頃帰城したルカは、まっすぐ羽衣の部屋へと向かった。
自分が今からしようとしている行動に珍しく緊張しているものの、早く羽衣に会いたいという気持ちには勝てなかった。
暗くなったとはいえ、まだまだ城の中も起きている時間。
ゆっくりと扉に手をかければ、羽衣はもうベッドへ入り、アリーに退室を促しているところだった。
「ルカっ。今日は早かったんだね。」
ルカは自分が早く帰ったことを喜んで迎えてくれた羽衣に目を細めると、ベッドサイドに佇むアリーに目配せをした。
日付が変われば羽衣の誕生日ということもあり、状況を察知したアリーは一礼するとにこやかに部屋を出ていく。
「もう寝るところだったか?ひとつ羽衣にお願いがあるんだが…。」
ルカはベッドに腰を降ろすと、ふわふわと揺れる羽衣の髪をそっと撫で視線を合わせる。
「お願いって?」