17歳。


このフィーリア国では婚姻ができる年齢となる。



まだ羽衣は知らないだろうが…。


成人は二十歳にならないと迎えられないが、17歳もまたこの国では特別な意味を成すのである。



ルカは公務の合間をぬって記念すべき誕生日にはこれしかないと決めたある物を買うべく街に来ていた。



とはいえ次期国王となる自分が勝手に動くことはできるはずもなく、1人で買い物はできなかったのだが。



それでも思い描く物が手に入りルカの表情も自然と緩む。



街を歩けば寒さも手伝ってか、恋人達が寄り添い歩く姿がよく目につく。



こうして堂々と外を歩き、ゆっくりデートを楽しめる身分ではないことに、ルカは初めて苛立ちを感じていた。



羽衣と出会って当たり前の日常を当たり前に感じたいという思いがいつの間にか芽生えていたから。




そんな正常な感覚さえ知らなかったルカに羽衣は知らず知らず意識しないところで沢山のものを与えているのだろう。