でもそんなこと、お父さんもお母さんも望んでいないんじゃないかな。



君が強く生きてくれること。



それがご両親の一番の願いなんじゃないかな。



だから君は、何があっても死んではいけない。



精一杯、自分の命を生き抜かなきゃ。



「それはあまり関係ないよ」



僕の心の声に、彼女は返事をする。



でも、さ。



命は………。



命は大切だって、君は分かっているんだろう?



彼女は振り返る。



ぞっとするような顔をしている。



本来ならば人間が必ず持っている感情という感情を根こそぎ排除したような。



喜びも、怒りも、哀しみも、楽しさも何もかも知らない。