「…心臓、壊れそうです。壊れたらどうしてくれるんですか?」

「一晩中付きっきりで看病する。」

「…それでは困ります。悪化してしまいます。」

「なんで?俺、最善は尽くすよ?」

「だって…小澤さんの…せいなんですから。」


少し赤く染まった顔でそんなこと言われたらたまらない。
彼女の方こそ俺の心臓を壊そうと狙ってるに違いない。


「あのさぁ…そういうのがダメなんだって。」

「ダメって何がですか?」

「そういう可愛いこと言われると、ちゅーとかしたくなっちゃうわけ。俺も男だから。」

「別に可愛いことなんて言ってません。」

「だーっもう!ちゅーするよ!?」

「ダメですっ!もう限界です!帰りましょう!」

「ほっぺもダメ?」

「ダメったらダメです!」

「ちぇー。」

「こういう経験ないって話しましたよね、私。」

「そうだけど…。なんかホントにギャップが可愛いよね。」

「ギャップなんてありません。」

「いやいやいや。
剣を握ればあんなにかっこいいのに、普段は本当に普通の女の子だからさ。」

「別に剣を握ろうが制服を着ていようが私は私で変わりません。」

「うん。それには納得。
さ、送るから乗って。」


俺は彼女をなんとか促して助手席に乗せ、車を動かした。