向こうから、佐紀たちが、
楽しそうに笑いながら、やって来た。


  「ユリ、お待たせ~」


  「えろう、楽しそうやん」


  「ユリの悪口で、
   盛り上がってたからね」


  「えぇ~」


  「ハハハ、冗談、冗談」



電車に乗ると、佐紀たちは、
今回の合宿の、総括を始めた。


  「やっぱ、大学生は、違うね」


  「瞬間に賭ける、
   集中力が、違うんだよ」


  「見習わなくちゃね」


やはり、佐紀たちは、
何かを感じ取っていたようだった。


  「ウチ、もう、地獄やったわ」


  「あら、そうでもありませんわよ。

   港北の合宿では、
   もっと、走らされてましたもの」


  「うん、こんなもんじゃ、
   なかったよね」


  「そら、ウチも、中学の時、走ってたわ

   せやけど、何遍やっても、
   長距離は、嫌いやねん」


すると、佐紀が、


  「ユリは、もっと、スタミナ、
   つけなきゃね」


  「うん、わかっとう」


  「おっ、今日は、素直じゃん」


  「いちいち、言うてることが当たってん
   から、反発しとうなんねん」


  「お前は、子供か!」


  「サキに、甘えてるんでしょうね」


  「うん、そうかも」


  「そんなに素直だと、面白くないなぁ」


  「面白くないって、何やの?」


  「おっと、そうこなくっちゃ」