飯田が去ったあと、あゆみたちは話し始めた。
「今のってさ、本郷が助けてくれたのかな？」
葵が言った。
「かな？」
あゆみは賛同した。
「だとしたらさ、本郷ってかなりいいよね。あの笑い方とかさ。ケタって笑うの、かわいいよね？」
「そうだよね。」
盛り上がる二人に対し、内藤だけは懐疑的だった。
「そうかな？」
そう言って、校庭の向こう側を指さした。そこでは本郷たちがドッジボールをしている。
「あそこでさ、本郷も飯田も夢中で遊んでるよ。あれって、絶対たまたまだと思うんだけど・・・。」
確かにすっごい笑顔で、ボールをぶつけ合っている。それだけを見ると、確かに助けに来たようには思えない。
「そんな事ないよ。助けに来てくれたんだよ。」
あゆみはなおも言った。それは本郷に対する想いからだった。
「そんな事ないって・・・。」
内藤も意見を曲げない。
葵は中立になっていた。