あの日、翼がいなくなった日に


俺はずっと気になっていたことを幸弘に問いた



かなりの情報量とパイプを持っている幸弘にとって


知らないことや分からないことなどまず無いはずなのだ


しかし……何故だか翼の過去については一切、わかり得なかった



そんなこと、あり得るはずがないのに


幸弘の言うことだからと信じきった


あの日―――――……

――……


「…気づいてたのか、慎」


俺の問いかけに少々だが驚きをを見せた幸弘


「否……疑ってた」


「カマかけたのかよ」


「あぁ、悪ぃな」



幸弘は椅子に腰かけると静ずかに息を吐いた


「謝らなくちゃいけないのは俺だよ、いつかは言わなくちゃいけなかったし」