そして


愕然と立ち尽くす


人混みを抜けた先にあったものは


もう、何処に目を向ければいいのかもわからないほどの





あか


アカ


一面、血の海


雨を染めた赤は毒々しくアスファルトの上を流れていく


ちらほら視界の端に映る炎は雨に打たれているにも関わらず燃え盛っている


黒や白の塊がボロボロて崩れていく



「慎!だめだ!見るんじゃない!」



突然片方の目を塞がれた

父さんのジャンパーだろうか、いつもの香りがする


しかしいつもの父さんではない

抱き締められた俺に伝わるのは震え


「見ちゃだめだ…っ…」