―――――……
バタン、目の前で扉が閉まった
手を繋いで歩いた距離は面白いほどに短くて、呆気なかった
いとも簡単に別れがくる
「じゃあまた連絡するから」
「うん、つーちゃんも元気でね」
「はーい」
無邪気な笑顔を見たのは
それが最後だった
車はきれいに雨に濡れた道にタイヤを転がす
なかからつーちゃんが手を振っていた気がするけど、生憎遮光ガラスが邪魔になって影ほどしか分からなかった
「慎、もう帰ろう」
黒い車が信号で止まった時、父さんか言った
まだ車は見えていたが、こんな雨のなかじゃ意味がない
踵を返して帰路を一歩踏み出したときだった
騒音がした
聞いたこともない
あまりにも鈍く、大きい
破壊音がした