母さんたちのいつもと変わらない笑い声のなかには
いつもと違う話題
「品川なんて2、30分っ行けるでしょう?」
「まぁね、駅もわりと近いし、乗り換えも少ないわよ」
「落ち着いたら連絡ちょうだいね」
酷くぼやけた意識のなかで脳裏に刷り込まれていく会話は、いったい何の意味があったのだろうか
それでもやはり特別な存在だったつーちゃんの声はよく響いた
「しーくん、今日は雨だね、お外で遊べないね」
色素の薄い、茶色の綺麗な髪が揺れる
俺は諦めにもにた感情を抱いて適当に相づちをうつだけだった
――――――……
「そろそろ行かなくちゃ、おいでつー」
つーちゃんの母親は手招きをして相変わらず綺麗な笑顔を浮かべる
つーちゃんに似てる……
「そこまで送るわ、車でしょう」
「ありがとう、あなたももういい?」
「あぁ」