本当に嬉しそうに笑った母さんは「お父さんも食べてね」と付け足す


ピンポーン……


母さんがキッチンに戻ろうとしたとき、なんだか似つかわしくない計画な音がした


意識が覚醒する前に勝手に身体が動いた


「慎、走っちゃだめよー?」


そんな母さんの声も耳に入らずまだまだ大きい家の扉を開けた


「つーちゃん!」


ガチャ!と大きな音をたててあいた扉の向こう側には12歳の俺よりも幾分も小さい彼女がいた


「しーくんだ!おはよ!」


綺麗なお母さんの隣にいるつーちゃんはキャッキャと笑う


「春ちゃんたち入って、雨濡れちゃうわよ」


どうやら家が隣だからと傘を持ってこなかったらしく軽く濡れている


「ありがとう、おじゃまします」