「やっと、終わった…」 厚い資料を一通り見て、上司が残していった仕事を片付けると、時計の針は10時をさしていた。 今からなら走れば終電の一つ前の電車に乗れる。 私の住む街は都会ではないため、電車の本数は都会に比べ少ない。 だから、なるべくなら走って間に合う電車に乗りたい。 だが、私にはそんな気力も体力も残ってはいなかった。 今日はもう、ゆっくり帰ろう。 そう決めて帰り支度をはじめた。