椎菜Side

唇にあたる暖かいモノ。

あたしがそれをキスだと理解するまで20秒…。


「やっ」

やっとの思いで出た言葉がキュッと胸を締め付ける。


「…俺だけ見てろよ」


廉のどこか切なげな瞳が、まっすぐあたしを捕らえる。


廉をこんな気持ちにさせたのは、あたし。

不意打ちとは言え、三浦くんとキスしちゃったのは事実。

やっばり隠すなんてできないよ。

なにより、廉を失いたくない…。


もしまだ間に合うなら、謝りたい


謝ってちゃんと説明したい…。