静かに唇が離れていく。


しばらく時が止まったように感じた。

…キス。

今……キスしちゃったの?

柔らかい唇の感触……。

その感触がさっきの出来事を鮮明に蘇らせた。

どんどん体温が上昇して頭がぼんやりする。


「よく出来ました」

廉はそう呟いてあたしの頭をクシャって撫でる。

その廉の優しい目に思わず心が揺れそうになった。





…あたしはその時、これが"好き"って気持ちなんだってわからなかったんだ。