体育祭が終わり、片付けの時。
大吾が気をきかして、愛美と2人、体育倉庫にハードル運びにしてくれた。
少し後ろを歩く愛美は、まだ足が痛いみたい、少し引きずっている。
「愛美、大丈夫か?」
「んっ?大丈夫だよ。健ちゃんこそ、そんなに持って大丈夫?」
心配そうに俺を見る愛美。
愛美のほうが絶対きつかったはずなのに。
俺は止まって振り向き、
「愛美、ありがとな…」
と呟いた。
「よかったね、大事な人失わないで」
「うん。」
愛美は俺をぬかして行く。
「あたしはさ、わかるから…。大事な人を失うことがどんなに怖いのか、悲しいのか」
愛美?
「過去に、何かあった?」
愛美は黙った。
「俺に話せない?」
「話したくないわけじゃないの…。話せないの。人に話すと、思い出になりそうで…。まだ、思い出にはしたくないから」
俺には愛美の言っていることが、よくわからなかった。
「話せる時が来たら…、話して?」
「うん」
いろいろあったけど、なんとか無事に終わった体育祭。
愛美との距離も、ぐっと縮まった!!
はず…。