「あたしにも異議あり!」
そう言って立ち上がったのは、亜美だった。
金髪のくるくるパーマに派手な制服の着こなし。
ばっちりメイクは彼女を大人っぽく見せている。
「愛美じゃなくてもあたしが走るし。あたしだったら愛美とタイムもそんなに変わんないよ!それに、健人と気が合うのはあたしの方だと思う。」
亜美の言うことは確かなことだった。
どうする?と困ったように大吾が俺を見てきた。
「待ってよ。」
沈黙を破ったのは紗理奈。
「気の合う合わないだったら、あたしのがダントツだよ。それに、タイムあんま変わんないし…」
いや、お前絶対無理だから!
50メートル10秒以上かかるくせに、変わらない!とか言ってんじゃねーよ!
紗理奈は俺の言いたいことを顔で察知したのか、それ以上は喋らなかった。