「…」



扉に隠れるようにもたれかかっていたカズは、髪を切っていた。



ちょっと長めだった襟足をサッパリ切って、髪色は少し明るくなっていた。



「実家に帰ったら、小春さんに捕まったの?」



小春さんとは、カズのお母さん。



美容師で、とっても気さくな美人さん。



『あぁ、最悪。今度はお前のだって言ってたぞ、フワフワのパーマかけるって張り切ってた。』




「小春さん、お金にならない事するの止めなよって言っといて」



『そんな損得勘定出来る人じゃねーの知ってるだろ?』



はぁ、と溜め息をつくカズは少しやつれて見えた。