手の届く所にハサミが見えて、切るかどうか本気で迷った。



そのくらい慌ててたのに…



『ていうか、起こせば?アタフタし過ぎ。』



と声がすると、クスクス笑いながらカズは私を見ていた。



焦り過ぎて、そんな事にも気付かなかった自分が恥ずかしくて、カァと顔が熱くなった。



「離して、髪。」



『はいはい。』



と言っても離さない。



「離してよ!!」



『まだ眠いんだよ。』



「一人で寝なさい!!自分の部屋で!!」



『えー、今まで俺は一葉に付き添ってやったのに、俺には付き添ってくれないのかよ』



「頼んでない!!」



『大丈夫だって、間違っても間違わないから。』



「意味わかんな、った!!」