ぎゅっと、握り締める手…



俺の足は急に歩く事をやめた



『どうした?』



「俺…帰ります」



今しかない。



一葉ともう一度、顔を合わせてしまえば、また決心が鈍ってしまうたろう



だから…



「今日のうちにマンションを出ます。」



『………随分、思い切ったな。』



眉間に少し皺を寄せて、俺を見ている



『一葉には、言わない方がいいのか?』



「できれば…」



『分かった。』



と返事をした葉さんに頭を下げて背中を向けた