『カズちゃん、一葉がどうしてあなたに言わなかったか分かる?』



「俺には関係ないと思ったからじゃないですか?」



自分で言って悲しくなった



いつだって頼って欲しいのに



頼りないガキだって、思われたくないのに



どうしたって…



まだまだ、ガキなんだ…



『それも…あるかもね…結局の所、一葉にしか一葉の気持ちなんて分からないものね…』



「…」



『私ね、記憶喪失って強ち嘘ではない気がするの。だって…思い出せないんだもの…ここ何ヶ月か、一葉がどれくらい笑っていたか。あの子の笑顔が思い出せないの…』



そう言って零れた涙は、枕に消えた