『おちおちしてると誰かに持ってかれるぞ』



「そりゃ、お前も一緒だろ」



『一葉は…そうだな。気をつける』



一葉が…人を好きになるのは、ありえない気がした…



でも、そう思っているだけなのかもしれない。



いつか、



“カズ、私の好きな人よ”



って見知らぬ男を紹介される日が来る事が、堪らなく怖いから、嫌だから、考えないようにしていただけだ。



一葉の隣にいるのはいつだって自分で居たいから。



「若いのに色々考えてる感じするよなぁ、お前って。もうちょっと後先考えないで行動したっていいんじゃないか?若い内の特権だぞ?」



臆病な癖に、脳天気な男だ。