『出来た？』



と奥から出てきたカズは、深緑の浴衣を着ていた。



かっこいい…と思わず言葉が漏そうになり、口に手をあてて止めた。



『…』



カズは、何やら固まっているけれど…私、変かな？



『馬子にも衣装？』



と口に手をあてて笑っているカズを、小春さんが思いっきり叩いた。



「バカ息子!!こんなに綺麗なのに!!」



『浴衣が綺麗なのは当たり前だろ？俺が選んだんだから』



と頭をさすりながら言った。



馬子にも衣装なんて言われても全然気にならなかった。



カズの浴衣姿に面食らっていたのと、浴衣を選んでくれたという幸せな気持ちでいっぱいいっぱいだったから。



いい思い出が出来た。



とケンカする二人を見ながら思った。