でも…怖い。



あの家は、怖い。



「私、お墓参りだけ行く。」



と言うと、そうかと私を見ずに言った。




逃げて情けない私。



“それ”を責めないカズをしばらくジッと見つめると、



『照れるだろ』



と無表情で言った。




「あんたが照れるなんて気持ち悪い」



と荒んだ目で見るとクスクスと笑っていた。




何だか、そんな当たり前の会話で少し気持ちが楽になる。



帰る場所がない私に、居場所を作ってくれたカズには感謝してもしきれない。



たとえそれが、母さんとの約束だったとしても…