『おはよう』

心に錘がのしかかっているような気分だった。
学校は正直好きじゃなかった。


「遅れるから先行くわ」

お姉ちゃんはそう言って沢山の資料を抱えながら駆け足で玄関に向かった。

今日の朝ご飯はちょっと豪華だ。
いつもはパンだけなのに、今日はご飯とお味噌汁に魚までついていた。


『今日豪華だね』

ポツリと呟きながらご飯を一口食べた。

「ヒロキ君がいるからね」

お母さんは嬉しそうにご飯をよそっている。

『あぁ、お姉ちゃんの彼氏泊まったんだ』


突然ドタバタと階段から背広姿の男が降りてくる。

私は昨日の姿とは違う彼氏の姿にちょっと違和感を感じた。


「やばい、初日から遅刻するとこだったー

あっ、おはよう」


そんなセリフを聞いて、やっぱりチャラめのあいつだったかとなんだか損した気分だった。


『おはよう、そんな格好で大学行くの?』

わからないけど、私の口から出たのは紛れもなくタメ口だった。

もちろん今までのお姉ちゃんの彼氏にはきちんと敬語で話していたけど、、、この人に敬語を話す気にはなれなかった。