「いくら総長でも、今回の命令には従えません。」

明くんっ……!




こんな奴に、光の代わりなんてさせない。

私は、隙を見て春馬の腕を噛んで離れた。

「…って!こいつ、噛みやがった!」

「あんたなんかに、光の代わりなんて無理なんだから!!」

…光、私が光の居た場所を守ってあげるから。

こんな奴に、総長なんてさせないんだから。

「……覚えておけ、女。」

春馬は私を睨みながら校舎へ入っていった。

「……奈々ちゃん、気をつけて。」

そう言った明たちも春馬の後についていった。

………っ。

力が抜けた私は地面にしゃがみ込んだ。

「奈々っ!!」

心配していた舞子が駆けつけてきた。

「あんたって、本当にばかだよ!!」

「ご、ごめ……。」

私の目には涙が溜まっていた。

「私…、くやしいっ……。あんな奴が、光の代わりの総長だなんて……。」

「奈々……。」

舞子はそっと私を抱きしめた。

……光が居なくなってから、こんな風に抱きしめられたのは初めてだ。

「…奈々の気持ちは、きっと光くんに届いているよ。」

「……光っ~。」