唐揚げを揚げながら綾のお母さんがハッとしたように声を上げる。
「葵ー!ちょっと手伝って!!」
「……何。」
葵くんがリビングからちょこっと顔を出す。
「お母さんちょっとお風呂見てくるから、ここで唐揚げ見張ってて!!」
綾のお母さんはそう言うと、唐揚げと菜箸を葵くんに預けて、お風呂場へ行ってしまった。
『……。』
沈黙が流れる。
な、なんか話題が欲しい……。
「葵くんは、部活何やってるの?」
「……何に見えます?」
「んー……、サッカー?」
私は、玄関で合ったときの服装を思い出して、首を傾げながら答える。