今から16年前、ある公爵家に一人の女の子が誕生した。

その子の名は『アラナ』。ステニアス公爵の愛人の娘として産まれた。

アラナの母は、アラナを産んですぐに亡くなってしまい、父のステニアスも後を追うように事故で亡くなった。

父が亡くなる前に公爵家に引き取られていたアラナは、義理の家族は居るが実の両親を1歳に満たない内に失ってしまった。

両親が亡くなってからアラナに対するステニアスの者からの風当たりは強くなっていった。

愛人の娘ということもあるが、もう一つ原因がある。それは、アラナの銀髪と琥珀色の瞳である。この世界にこのような髪と瞳の色は存在しないからだ。

しかし、3姉妹の長女だけは違った。まだ赤子のアラナの面倒をみて、愛情を注いでくれた。

「貴女は私が護ってみせるわ。」

彼女は最期までアラナを護った。



そう、“最期”まで…