夜になり、焚き火を囲んで

ヤドリギ祭の準備をする。


ヴァネッサはヤドリギ祭を

はじめる前にハーヴァルドを

呼び出した。


「何ですか?ヴァネッサさん」

あまりヴァネッサと

話したことがない

ハーヴァルドは突然

呼び出されて戸惑った。


「ハーヴァルド。

あんたフランのことどう思う?」


ヴァネッサは直球で問いかける。


「……え?……一緒にいて

安心するし楽しいです。

だから僕は心を取り戻せました」


ハーヴァルドは照れながら言う。


ハーヴァルドが心を

取り戻したのは皆知っている。


今のハーヴァルドの弓は

岩をも砕く。


それが何よりの証拠だ。


けれど彼はまだもう一つの心を

自覚していない。


「そういう気持ち

なんていうか知ってる?」


ヴァネッサは自分の気持ちに

気付かない初な少年を見て

ほくそ笑む。


「僕は失ってしまったものを

取り戻しただけで……」


ハーヴァルドは首を傾げる。


「本当鈍いわね。

恋っていうのよ。

あんたは王子で女の子と

親しくした経験もあまりない

だろうからわからないのよ」