桜の舞い散る掲示板の下。
悲喜こもごもの歓声に紛れ、俺と凌は同時に独り言を漏らした。
「「あ、A組だ」」
そして顔を見合わす。
「マジで?」
「ほんとに?」
まさか。
これまでずっと同じだったから、もうそろそろ離れると思ったのに。
「やったー!斗馬クンとまた同じクラス!これって運命じゃない?」
「気色悪いこと言うなアホ」
高いところにある後頭部を軽く叩いてやりながら、俺も実は内心喜んでいた。
今日は神世学園高等部の入学式、という名の実質は始業式。
生徒達は講堂の脇に張り出されている新クラスの名簿を見て、式が始まる前に一度各々の教室へ荷物を置きに行くことになっている。
俺と凌は連れ立ってA組へと向かった。
「いやー、ブレザーって大変だね。ネクタイ結ぶの面倒だし、息苦しいし」
「ほんと、学ランのが楽でよかったな」
高等部になって制服が変わった。
女子はセーラーから、男子は学ランから、ブレザーに。
中等部の制服がまだ使えるんだから、そのままでいいのに、どうして無駄なことするんだろうな。
これを買うために、こちとら切羽詰まって三ヶ月間小遣いなしになったんだぞ。