まさか、子供同士でこの狭い部屋を分け合うことになろうとは。
斬新なアイデアにも程がある。
蕁麻疹が出そうなほど嫌だったが、もう一人の子供がすんなり受け入れるから、俺は年上のプライドもあって駄々をこねるような真似はできなかった。
どうして、ああも聞き訳が良いんだろうか。
ちなみに、照明は向こうに取られた。
俺は蛍光灯を持っているから、それで我慢しろということだ。
おかげで俺の部屋は昼夜を問わず暗いまま。
ふざけんな。
うっすら明かりの漏れているビニール製の分厚いカーテンを叩くと、ボスボスとこもった音がした。
これがノックだと伝わったかどうか心配になったが、それは杞憂だったらしく、「はい」という返事と共にすぐにカーテンは開かれた。
「夕飯……だって」
敬語になりそうなのを辛うじて堪え、意図して作った低めの声で言い切った。
向かい合う相手の目が大体同じくらいの高さにあるのが嫌で、背筋をぐっと伸ばすなんて小さいことをやってみる。
「分かりました」
挙動不審気味の俺になどまるで興味がないと言わんばかりの涼しげな顔で、優子さん……もとい、優子、はうなずいた。