「仕方ないよ。何も知らなかったら間違いなくオレも優子さんって呼んじゃう」


「あれだけ顔が整ってるって、反則だよなあ……」


「すごい正反対の親子だね。彩花さんは、可愛い!って感じで……なんか……」


言い淀む凌に、目で先を促してやると。




「斗馬クンのおじさんって、ロリコンだったんだね」




申し訳なさそうなくせしてハッキリ言いやがったな。しかし。


「……否定できないのが情けねえよ」


それは俺も思ったことだった。

親父と俺は、何もかも丸きり似ていない。

親父は骨格のがっしりした男臭いタイプだが、俺は成長途中であるにしても小柄で体毛も薄くて、忌々しい限りの女々しい幼顔だ。

どうして俺がこんな有様になってしまったのか。

答えは単純、俺が母親の血を強く引いてしまったからだろう。

事情が事情なだけに写真の一枚も残っていないものだから、俺は母親の顔を知らない。

でも俺を参照するに、幼くて小柄な人だったんだろうな。

そして、あの彩花さんである。


「どう足掻いても言い逃れできないよな……」


「ま、まあ、好きになった人がたまたま、ってこともあるだろうし!若いのが好きなのは男として当然のことだし!全然悪いことじゃないと思うよ!」


「分かってるよ。本物の幼女に興奮するって言うなら縁を切るところだが、法に触れない範囲のことなら俺はどうこう言える立場じゃない。心境は複雑だけどな」


「斗馬クン……」


悪寒を感じて反射的に身を引いたら、間一髪で凌の腕から逃れることに成功した。


「頬ずりは、しなくていいぞ」


「あれれ、つれないなあ」