喧嘩が長続きしないのは毎度のことだが、いつもより張り詰めた空気を引きずったまま、俺達は狭い居間の定位置に腰を下ろした。
そして俺は昨日起きた出来事を一通り説明してみたのだけれど。
「えっと……それ、どこからつっこめばいい?」
半笑いで小首を傾げられた。
それが当然の反応だと思う。
「やっぱり、そうそう信じられる話じゃないよな」
自覚があるくらいだから、今の俺はさぞ冴えない顔をしているのだろう。
この凌でさえ、軽口を叩けなくなるくらいに。
「……本当なの?」
「今からでもいいから、嘘だって言ってほしいんだけどな。でも……」
昨日もらったプリクラを差し出すと、それを見て凌は目を見開いた。
「え、これが彩花さんなの?十代にしか見えないんだけど!斗馬クン表現が大袈裟って思ったけど、これは……」
「画像補正で余計に若く写ってるけど、だいたい実物もそんな感じだった」
「これで三十路って……娘さんも娘さんだし。実際見たけどさ、あれでオレらより年下って絶対嘘だよ」
「無表情だからってものあると思うけど、それにしたって子供らしさの欠片もねえよな。俺、危うく優子さん、って呼ぶところだったんだぜ。小学生に向かって」
思い返せば「斗馬さん」って呼ばれたの、当然だったんだよな。
それなのにテンパっちまって、ほんと歯軋りしたくなる。