なんだか気持ちが優れない。
あまりのことに心と体がついて来ない。
駄目だ、しっかりしないと取り返しのつかないことになるかもしれない。
気を確かに持て。
しっかり、しっかりするんだ、俺。……
ゲームを片してそわそわしていたところで、呼び鈴が鳴った。
いつもにも増してぎこちない音が気分の悪さに拍車をかける。
ああ、もう来てしまったのか。
出迎えなんかしないぞ。
歓迎していないことをアピールしてやる。
上がりたいなら勝手に上がってくればいいんだ。
俺はちゃぶ台の前にどっかりとあぐらをかいて、踏ん反り返った。
しかし、一向に玄関の開く気配がしない。
妙だな、と玄関の様子をうかがおうとしたら、もう一度呼び鈴が鳴った。
何やってるんだ、親父。
とっとと上がってくればいいじゃないか。
それとも、どうあっても俺に出迎えをさせる気なのだろうか。
いいや、親父は人を待たせてまで意地を張るような人間じゃない。
……もしかして、宅配便か?
休みが少なくて怠け者の親父は、日用品などを買うのにさえネット通販をよく利用しているから、荷物が届くのは珍しいことじゃない。
だったら早く出ないと、不在扱いされては面倒だ。
俺は大股三歩で玄関まで飛んで行き、慌ててドアを開けた。