二人を迎えに行って来るから、と親父は意気揚々と出て行った。

人が来るのだから、掃除しておいた方がいいのだろうか。

いや、どうして俺がそんなことしなきゃいけないんだ。

親父の客なら親父に掃除させるべきだろう。

でも一緒に暮らすっていうなら俺も全くの外野でいるわけにはいかないのだろうか、って違う、一緒には暮らせないって、はっきり言わなきゃいけなかったんだ。

とにかく今回の話をなかったことにしなければ。

言えばいいだけだ、嫌だ、と。

たった一言でいい。

それだけで……ああ、落ち着かない。


じっとしていられなくて、玄関に行ってみた。

何もかもが、汚い。

やっぱりこれを人に見られるのはどうかと思ったのだが、短時間でどうにかできるもんじゃないと諦めて、居間に戻った。

ここも汚いな。

空気が淀んでいる。

客うんぬんに関係なく換気はした方がいいと窓を開けたら、ベランダは見るも無残な状態で、ちょっと思案してから見なかったことにした。

振り返って窓際から部屋を見渡すと、我が家が実に狭く、手入れもしていないからみすぼらしいことを改めて実感する。

だからこそ落ち着くという面もあるんだ。

なんて自分で自分に言い訳していたら、ふと違和感に気づいた。

テレビに繋ぎっぱなしのゲーム機だけがスタイリッシュに悪目立ちしている。

どこかに隠しておいた方がいいだろうか。

これを見て下手に金があると思われても困るし、そもそもこれは凌の物だし。

それに無造作に積み上げられたソフトの中には、凌が「十五歳になったお祝い」とか言って買ってきた、ちょっとエロいやつも紛れている。

全部隠しておくのが賢明だろうな。

俺は自分の部屋という名のゴミ溜めへ、ゲームの類をのろのろと移動させ始めた。