早乙女那美と二人、雑貨コーナーへ優子を探しに行くと、学生の中に混じっているOL……もとい、優子がいた。
同年代の中に並ぶと、素晴らしいほど浮いていて見つけやすいな。
なにやら熱心にアクセサリーの棚を見つめている。
「ねえ、優子ちゃん怒ってない?話しかけて大丈夫かな?」
手を口に添えて、早乙女那美が俺の耳元で囁いた。
近い。
心拍数が跳ね上がる。
喉から心臓が出て来そうなのを堪え、必死に平静を装って答えた。
「あの表情が普通で、あんまり笑ったりしない子なんだ。気にしないでいいよ」
「そっか。じゃあ行って来るね」
手を振って離れていく彼女を見送って、大きな溜息をつく。
寿命が縮むかと思った。
無邪気って恐ろしいな。
早乙女那美に声をかけられると、優子は驚くこともなく落ち着き払って彼女の話に二、三度うなずき、そして二人は文具コーナーへ行ってしまった。
女同士積もる話もあるのだろう。
少し離れたところから様子を見ていた俺は一人取り残されてしまった。
手持無沙汰を紛らわすために、優子が見ていた棚をのぞいてみる。
そこには、色とりどりの髪飾りがディスプレイされていた。
シュシュっていうんだったか。
体育のとき、女子はみんなこれで髪を結んでいるよな。
そしていらないときはなぜか手首につけている。
かさばって邪魔臭そうに見えるのだが、あれが可愛いんだろうな、女子にとっては。
優子も可愛いと感じるのだろうか。
そして欲しいのだろうか、こういうものが。……