不意に聞こえた声に、目がカッと開いた。

それから一瞬遅れて意識が覚醒して、慌てて左右を確認すると、土管の右側の入り口からこちらを覗いている誰かがいた。

逆光で顔がはっきりしない。

確実なのは、大人ではない、ということだけ。


「おじゃましてもよろしいでしょー?」


何言ってるんだ、コイツ。

と訝しんでいる間に、そいつが四つん這いで土管の中へ侵入してきてぎょっとした。

お前は誰だ、今日ここは俺の場所だったのに、こっちに来るなよ、変なことしないよな……言いたいことはいっぱいあるのに声が出ない。

俺は体を強張らせてただ侵入者を見ているしかできなかった。

そんな俺の警戒など意にも解さない侵入者は、すぐ側までやって来ると膝と手をぺちぺちと払って、俺の真似をするように隣で体育座りをして見せた。

強すぎる光が届かない距離まで近づいて、やっと侵入者の姿形を認識する。

どうやら相手も俺と同い年くらいの男の子のようだ。

制服のようなものを着ているが、自分の通っているところのそれとは違って嫌に立派に見える。

この辺の人間じゃないのだろうか。

その見かけない顔が満面の笑みを浮かべ、意気揚々と口を開いた、のだったが。


「きょ、うわ……っ!」


元気よく放たれた声が土管の中でうわんうわん反響して、耳にダメージを受けた俺達はしばし悶絶した。

何をするんだとばかりに睨みつけてやれば、相手は口に人差し指を当てて、「しー、しずかにおはなしするなのね」とひそひそ話のボリュームで仕切り直した。


「きょうは、いいおてんきですねー」