星が瞬き出す宵の口に、優子が目を覚ました。

一人で居間まで歩いてきた、その足取りはしっかりしている。


「気分はどうだ?」


「もう大丈夫です」


多少髪の毛に寝癖がついているが、顔色は良くなっているし、いつもの無表情も復活だ。

よかった。

本当に、よかった。


「腹減ってるだろ。今おかゆ温めるからな」


コンビニのレトルトだけど。

優子は大人しく正座して、台所に立つ俺を収納カウンター越しに見ている。


「足、崩していいんだぞ」


すると横座りになったが、やっぱり俺から目を離さない。

台所に立つ俺が珍しいのだろうか。

それとも昨日の今日で態度が急変したことを訝しがっているのだろうか。

どちらでもいい。

これから、この光景を少しずつ普通にしていけばいい。