むしゃくしゃする。

どうして俺ばかりがこんな思いをしなきゃいけないんだ。

いくら深呼吸をしても治まらない。

負の感情に潰されそうになる。

そしてこれから、あのロボットよりも感情表現が乏しい、威圧的なまでに綺麗な同居人と、あの不味い味噌汁を飲まなきゃならない。

昨日も今日も明日もずっと、延々連なっている苦痛の連鎖。

引きちぎる力のない自分にまた腹を立てていたら、望んでもいないのにあっという間に我が家へたどり着いた。


より一層錆びついてきたノブを回す。

ドアが開き、このごろ不本意な方へますます表情を変えつつある我が家の匂いを吸いこんで。


「……なんだ、今の」


大きな物音を聞いた。

何かが雪崩れたような、不快な音。

それは、なんとなく俺の部屋から聞こえたような気がして。


まさか。

でも、そんなわけは。


おそるおそるふすまを開ける。

真っ先に見えたのは、カーテンに遮られない照明。

隅々まで明るく照らされた部屋の下、コンセントの入った掃除機、俺の机の前で尻餅をついている優子、その足元には、段ボールからこぼれた水着のお姉さん達。

その段ボールは、たしかに、机の下に隠しておいたはずだった。


それが、どうしてこうなる。