変わってしまった周囲の目にさらされながらも、かろうじて日常を保ったまま一日の授業を終えた。
「これからどうなってるんだ?」
「火曜日だから、ピアノのレッスンだね」
最近、凌は真面目に習い事に通っている。
要領の良いこいつが習い事で更にスキルを習得すれば、そのうちスーパーマンにでもなってしまうんじゃないだろうかと末恐ろしくなってしまう。
一度だけ今の生活は息が詰まらないか、と聞いてみたのだが、意外と楽しいものだよ、と笑っていた。
それが本心なのかは分からないけれど。
「ここから直接ピアノ教室に行くから、今日は一緒に帰れないけど」
「分かってる」
「発表会のときには見に来てね!」
「気が向いたらな」
ぶんぶん手を振ってくる凌を見送って、さて俺も帰ろうと鞄を肩にかけてすぐのことだった。
「服織女、ちょっといいか」
ついさっきまで教壇に立っていた担任が、俺の肩に手を置いた。