強い風が吹いて髪の毛が中堂志の顔を隠す。

それと同時に歩みがピタリと止まった。


「やっぱり親友なんていらない。」


「はぁ!?」


また勝手なことを・・・

俺らも頑張っているというのに。



このままでいいはずがないじゃないか。


説教でもしてやろうと俺は腕を組んだ。


だが中堂志はそんな俺を無視して歩き始めたのだった。



「ちょっ!!」

咄嗟(トッサ)に腕を掴(ツカ)んで引き止める。

するとまた強い風が吹き中堂志の髪を巻き上げた。


間近で目と目が合う。

瞳が潤んでいるように見えるのは気のせい?


彼女は唇(クチビル)をキュッと結(ムス)んで何とも情けない表情をしていた。