「心吾、早苗、先行ってて。」
二人が行たらきっとややこしくなる。
心吾は嫌われてるし、
早苗は真っ先に喧嘩になりそうだ。
「嫌。」
そんなに追いかけっこがしたかったのだろうか。
いつも以上に我が儘だ。
仲良くしてくれるなら居てもいいのだが、今の早苗の様子じゃ無理だろう。
心吾に目配(メクバ)せる。
すぐに気づき早苗に近づいた。
女心と空気は読めずとも、何かとよく気付く敏感なヤツなのだ。
「早苗ちゃん、最近少し太っただろ?走って一緒に行こうぜ?」
やはり、女心が読めないのは相当痛いな。
走るというよりもうダッシュって感じだった。
必死に逃げる心吾と般若な早苗の顔が恐ろしいこと、恐ろしいこと。
だがそれは心吾の思惑だったのかもしれない。
だって早苗は心吾を追って教室からいなくなってしまったのだから。
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