「どこの席だって授業の内容が入るわけじゃないんだし〜。気にすんな?」
あくまで軽くそう言った。
「竜希がそれでいいなら私は構わないけど・・・」
歯切れの悪い言い方だったが、俺の意見を尊重(ソンチョウ)してくれるようだ。
「竜希くん、私の席でよかったらどうぞ?」
田中ちゃん!!
優しいなぁ。
「竜希。そこの席に座れば?」
早苗!!
そこは心吾の席だろ・・・
心吾のヤツ。
不憫(フビン)で泣けてくるぜ。
「田中ちゃん、早苗、サンキュー?でも俺、前に座るからいいよ。」
俺は自分の荷物を持って立ち上がった。
超特等席を離れるのは名残惜しいが、まぁいいかな。
「中堂志さん、あんま、授業さぼんなよ?」
この席は誘惑がいっぱいだと俺は知っている。
経験者がだからな。
それだけ伝えると前の席に向かったのだった。
中堂志に睨(ニラ)まれたのは気づかなかったことにした。
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