"入って来〜い"と河先の声とともに教室の引き戸が引かれる。

ピシャリと閉められた戸の前には・・・


息を飲むような光景が広がっていた。


お尻まで伸ばされた長い艶(ツヤ)やかな黒髪に、
いつか女の子の家で見たお人形さんのような大きな瞳と整った顔を持つ、


"美しい女(ヒト)"がいたのだ。


誰ひとり言葉を発しない奇妙な時間が流れる。

みんな美しい少女に釘付(クギヅ)けになっていた。


俺だってびっくりだった。
こんなに綺麗(キレイ)な人に会ったのは初めてだ。


でも次の瞬間(シュンカン)見てはいけないモノを見てしまう。


俺達に気づいた少女は、

汚らわしい物でも見るかのように、眉を潜(ヒソ)めたのだ。

そして

「先生、何時間待たせれば気が済むんですか。それから、この人達、どうにかしてくださる?」