「てかさー、さっき電話の向こうで聞こえたんだけど。
『結来ないって??ヤッタ♪』
『あの子来るとみんな持ってかれるもんねー』
って…聞こえてるての」
結ちゃんが窓枠に頬杖をついて面白く無さそうに口を尖らせる。
「みんな持っていくの?結ちゃんモテモテじゃん」
僕がわざと明るい口調で言うと、
「最初だけだよ。いいなーと思う子とその後会っても
『イメージが違う』とか『重い』とか言われちゃうの」
「何だそれ。勝手にイメージしたのはそっちだろう?
しかも重いって普通言うか?」
僕は素直に思ったことを返して、
「でしょー!?自分どんだけよ、って言いたくなるよ」
と僕の話に勢い込んでくる。
「遊びたいんならキャバクラ行けっての」
「そんなお金もないんじゃないの?ってかさ、今の子全員がそうじゃないとは思うけど、
どれだけ手軽さを求めてるんだろう。
僕だったら付き合うのなら好きな人がいいし、付き合った人とは必ず結婚したいと思うよ」
手を繋ぐのも、キスをするのも、抱き合うのも―――
自分が本当に好きな人で、大切にしたいと思う人がいい。
まぁ今まで結婚できなかったのは、僕がフられてばかりいたからなんだけどね(泣)
でも
そのお陰で
雅と出会えた―――
そう思うのならフられたのも、別に悪い歴史ではないか、とすら思えてくる。