「いつもいるなって気になってたんだけど、話しかけていいのか分からなくてさ」


イヤホンを外しながら、女の子が言う。


外れたイヤホンから漏れて聞こえてきたのは、当時流行っていたパラパラの曲だった。


「隣座ってもいい?」


私は頷いて、石の上に置いていたミルクティーを膝に乗せた。


「あっついねー」


そう言ってジャージの袖を捲り、焼けた腕でペットボトルの水をポケットから取り出す。


蓋を開けたと思ったら、一気に半分飲み込んだ。


それを見て思わず笑ってしまった。


「夏なのに長袖長ズボンで走ってるからだよ」


「こっちのが痩せそうじゃん?」


と、女の子はケラケラと笑った。