「俺だってあそこで育ったんだから、帰りたくない気持ちくらい分かってるって」


…。


そんな寂しそうな顔でそんなこと言われたら、陽介を信じる以外選択肢がなくなるじゃん…。


私は黙って助手席に座った。


どこに行くんだろ?


エンジンをかける陽介の横顔を見つめていたら、目が合った。


「とりあえず着替える服買いに行くか」


服?


思わず自分の制服に視線を落とす。


制服じゃ行けない所に行くの?


そんな疑問を残したまま、車は走りだした。