車の前でつっ立ったまま足が動かせない。


陽介がそんなことするわけない。


…でも、分からないよ?


5年たってるんだから、その間に人間簡単に変われる…。


逃げる…?


わざわざこっちまで来てくれたのに?


頭の中でグルグルと葛藤していると、陽介が気付いたのか笑った。


「何難しい顔してんだよ、早く乗んな」


「…どこ行くの?」


「秘密」


そう短い言葉といたずらな笑顔を残して陽介は車に乗り込んだ。


「施設に行くつもり!?それなら私乗らない!!」


助手席のドアを開けて、鍵を差し込む陽介に言う。


「あはは、お前なぁ(笑)」


声を上げて陽介は笑いだした。