直斗は、なにも言わず、じっと快斗の話を聞いていた。



直斗も、快斗の思いを今知った感じだった。



直斗は、快斗が病状の回復を喜ばないのは由亜のことがあるからだって思っていたから。




でも、違った。



由亜は関係なかった。




なんか、ショックだった。




快斗が、過去にとらわれず自分の人生を生きていることは本当なら嬉しいこと。




でも、死んだらそれまでって…。




由亜のことはもう忘れてしまったの?




ずっとそばにいたのに、



親友だと思っていたのに、



なんか悲しい。



寂しい。



なんか、今私がここにいる理由もなくなった気がする。





「…私は、ずっと苦しんでた。
由亜はわたしのせいで死んだって。
だから、自分が由亜になにができたんだろうって知りたくて看護師になった。
……自分の行動が悪くなかったって確かめたかった。
由亜の死が自分には関係ないって思いたかったから看護師になった」



そう、本当の理由はそれ。



私は悪くないって思いたかったから。



「それでわかっただろ?
関係なかったって」



快斗は言う。



「わかんないよ。
なにもわからない」



快斗はじっとこっちを見ている。



私も、快斗をじっと見る。