高校の門をくぐる。
ちょっぴり緊張。


裕美を見ると、やっぱり裕美も緊張しているみたいだった。
そして、二人でなにげに顔を見合せて プッと吹き出す。


「なに~?緊張してる?」ぷぷぷ…
「そういう自分こそ~!」ぷぷぷ…


会場は体育館だ。体育館はこちら→という案内があちこちに貼られている。それに従い、足どりも軽く浮かれて歩く。


と、不意に“ドン!“何かにぶつかってしまった。横にいる裕美の方ばかり見て喋っていたせいだ。


慌てて前を向くと 目の前が一面、真っ青!


!!なに?


「ごめん、大丈夫?」


上の方から声が降ってきた。


…へ?…


上を見上げると、見知らぬ顔。


「だ、大丈夫です。って…えーっと…ごめんなさい、あ、いや、すいませんでした。よそ見してて、本当にすいませんでした!」

「あぁ、いや、こっちこそごめん。俺もよそ見してて前向いて歩いてなかったわ」


見知らぬ顔の彼はそう言って照れくさそうに笑った。


うわぁ~、イケメンだぁ~!こんな綺麗な顔立ちの人がいるんだ。世の中って広いんだなぁ…


「4月からうちの高校に来るんだよね?よろしくね。俺、見ての通り一応先輩ってやつ?笑。あ!この際だし、勧誘しとこうかな?君は部活なんかやってたりする?
バスケ部、マネージャー募集してるから!どーぞよろしく~!」

彼は一方的に言いたい事を言って 軽く片手を上げ、スーッと行ってしまった。


「ちょっとー。美紅!みーくちゃん!おい、こら!美紅!」
裕美が横で私の名前を連呼している事に気付いた。


「なぁにぃ~?ぽーっとしちゃってねぇ?」ニヤニヤする裕美。
「一目惚れ?」


え??
「なに言ってんの~?びっくりしただけだし!」
「あ!でもイケメンだったね。背もすごい高かったよね?中学にはいないタイプだしなんか緊張した。ってか、固まっちゃった…あはっ」


高校生って…なんか大人の雰囲気。同級生の男子がガキに思える。


お母さん達はもう先に先にと進み、すでに体育館の中にいるのだろう。視界からは消えていた。