暗くなった空。
雲が月を覆い隠し
光も無い真っ暗な教室。
その中に俺以外の人の気配。
教室の真ん中辺りに浮かび上がる影。
その辺りには篠原の席がある筈。
俺の目は暗闇に少しずつ慣れはじめ、
長い髪と華奢な体が見える。
ラッキー、篠原だ!!!
まだ、帰って無かったんだ。
もしかして……
俺を待っていてくれたのか?
ってゆうか、今がチャンス!?
雰囲気もバッチリ!!
俺は迷うことなく
そのシルエットを後ろから抱きしめた。
俺の鼻先を擽る長い髪からは甘く香(かぐわ)しい香りが漂う。
俺の腕の中にいる篠原は、俺が想像していたよりもずっと細く、脆く折れてしまいそうで……
伝わる温度は温かい。